小さい鉄道でも大きな魅力いっぱい~個性溢れる銚子電鉄駅紹介~

目次
銚子電鉄に揺られる20分の電車旅

千葉県銚子市を走るローカル鉄道「銚子電鉄」
銚子駅と外川駅の間を走る全長約6.4kmの短い路線で、昔ながらの漁師町の風景が残る外川駅まで約20分の電車旅が楽しめます。
5月~6月にかけて車窓からは一面のキャベツ畑が見渡せるなど、この時期に盛り上がりを見せるローカル線でもあります。
地方では人口減少・過疎化が進んでいる結果、鉄道の路線縮小・廃線が後を絶ちませんが、その中でも銚子電鉄はユニークで斬新なイベントで全国から注目を集めています。
2015年から始めた「お化け屋敷電車」や、2017年には日本テレビ系列「24時間テレビ~愛は地球を救う~」の企画で、本銚子駅の改築を行ったりなど。
2018年には、「うまい棒」ならぬ「まずい棒」の企画・販売をしたことによって、全国各地から注文が殺到しています。
また2024年には、「岩下の新生姜」とのコラボ企画など足を運んでみたくなるようなユニークなイベントが定期的に開催されています。
本記事では、小さい鉄道ながら、県外からも注目の集まっている銚子電鉄の個性的な駅をピックアップしてご紹介します。
鉄道マニア必見の地「仲ノ町駅」

銚子駅から外川駅までの6.4kmをおよそ20分かけて走る「銚子電鉄」
始発駅のJR銚子駅から出発し、次の駅に仲ノ町駅があります。徒歩でも7~8分ほどでたどり着きます。

この駅の醍醐味は、駅の隣に車庫が設置されており実際に見学できること。以前は入場券150円で自由に見学できましたが、2025年4月1日より事前予約制(有料:1,000円)に変わったので注意が必要です。
見学予約はHPにて約1カ月前から1週間前まで受付しています。

車庫には、かつて銚子電鉄で営業運転していた車両がそのまま残され、タイムスリップしたかのようなレトロな空間が広がっています。

また、駅構内には銚子電鉄に関するグッズ(記念きっぷなど)が販売されています。ここ仲ノ町駅にしか売っていない限定品もあるので電車好きにはたまらないスポットです。
地元民から愛された、たい焼きの面影残る「観音駅」

次の停車駅は「観音駅」
銚子電鉄はレトロな駅舎が多いですが、こちらは海を感じるような西洋風の建物が目を惹きます。
こちらの駅では、1976年(昭和51)から営業を開始し40年間愛されつづけた、たい焼き屋さんがありました。

地元民はもちろん観光客からも支持された、たい焼き。味は、王道の小倉あんとクリームの2種類。
「観音駅のたい焼きを食べずにどこへ行く」と言われたほどの名物でしたが、残念ながら2017年(平成29)に閉店してしまい、店舗は犬吠駅に移転されました。
閉店した後も、当時の姿がそのまま残っています。余談ですが、営業時は電話での注文販売も行っており、個数と乗車した駅名と時間を伝えれば、この駅で個数分のたい焼きを届けてくれるサービスを行っていました。
そういった温かいサービスが愛されつづけた理由の一つだったのかもしれません。


ホーム後ろ側には今まで銚子電鉄とコラボした展示品が飾られており、そのインパクトは絶大。
無人駅なので何もないかと思いきや、歴史が刻まれた駅舎は今もなお愛され続けていることが分かります。

観音駅から東に歩いて10分ほど進みますと、「御飯町公園(ごはんちょうこうえん)」があります。

何気ない公園に見えますが、公園内の坂道を登っていくと銚子電鉄の線路に面している広場があり密かな写真スポットとして知られています。
2月には梅が、4月には桜が、6月には紫陽花が見られるなど四季を感じられる場所でもあります。

すぐ近く隣には交番があり、小さな子供でも安心して遊ばせることができる公園です。休憩するベンチもあるので観光の途中で一息つける場所にもなっています。
天気の良い日にはお弁当をテイクアウトしてピクニックするのも気持ちがいいですよ。
24時間テレビの企画で生まれ変わった「本銚子駅」

銚子電鉄の中で、知名度が一気に上がったのが、次の停車駅「本銚子駅」です。
そのきっかけとなったのが、2017年に日本テレビ系列で放送された「24時間テレビ~愛は地球を救う~」での企画。タレントのヒロミさんによる「オンボロ駅を直そう!」という企画で、駅舎や手すりを24時間で改修するものでした。


改修工事の結果、待合室にステンドグラスや、ベンチの下に西洋風のタイルが取り付けられました。
光の入り方によって見え方が変わるステンドグラスは美しく唯一無二の駅舎に生まれ変わりました。

待合室の天井には、西洋風の電球も取り付けられました。しかし、この写真をよ~く見てみますと、電球が1個付いていませんよね。
実はわざと付けなかったのではなく、取り付けるのを忘れたそうです…。
あとになってから住民が気づいたそうですが、あえて取り付けないという方針になったそうです。
現在でも土日になると、観光客や鉄道ファンなどで多くの人が訪れる名所となっています。
銚子一の観光スポットが点在「犬吠駅」

本銚子駅からさらに東へ進むと、やがて銚子電鉄で最も乗降客数の多い「犬吠駅」にたどり着きます。
この駅は、関東地方のJR・私鉄の駅の中で特徴のある駅として「関東の駅百選」にも選ばれました。
選定の決め手となったのが、こちらの駅舎の造りです。日本でも数少ない、ポルトガル風の宮殿式に白壁がマッチしている点が評価されたそうです。

そして前述した観音駅で営業していた、たい焼き屋さんは2017年6月からこの犬吠駅で販売されています。
また試行錯誤を重ね2021年にリニューアルオープン!
国産の安心安全な原材料を中心に厳選、レシピも改良を重ね一新し販売開始となりました。
味は「あんこ」と「クリーム」の2種類、1個150円(税込)
~リニューアルした「たい焼き売店」の3つの特徴、こだわり~
1.風味豊か!原材料のあんこは北海道十勝産使用しています
2.冷めても美味しい!皮の生地にはちみつを加え時間がたっても美味しさキープ
3.地域の経済効果に貢献!銚子市産の卵を使用
また新メニューも登場し、電車の待ち時間や小腹が空いたときなどにぴったりの売店です。
【営業日】木曜、金曜、土曜、第1、第3日曜日(12:00~16:00)

もう一つの銚子名物がこちらの「まずい棒」
決して味がまずいのではなく、経営状態(利益)が”まずい”状況にあるところからそのネーミングがつきました。
これが瞬く間にネットで拡散され、しだいに全国各地から注文が殺到。一時期はすぐに売り切れてしまい入荷するのが難しいほど注目を集めていました。
このポスターの完成度も高く、経営状態が窮地に立たされている感情(涙目)に加え、車輪にも火がついているまさに、「火の車」状態を表しています。
こういったネーミングや、ポスター等掲示物の表現は、とても上手く表しているのが銚子電鉄の一つの魅力です。
ドラマのロケ地としても人気!古き良き港町「外川駅」

犬吠駅の次は、銚子電鉄の終着駅「外川駅」です。
一見、ただの昔ながらの駅舎と思うかもしれませんが、数多くの人気ドラマ・映画の撮影に使われている駅でもあります。連続テレビ小説「澪つくり」(NHK/1985年)や、ラスト・フレンズ(フジテレビ/2008年)の最終回に使用されたなど、聖地巡礼として多くの観光客が訪れます。
最近の外川駅は昔に比べると内部も変わり、切符売り場の横に、日中時間帯のみ営業している売店が設置されました。
地元で採れたいわし・さばの缶詰めや、銚子名物濡れせんべいも売られていて、ちょっとした待ち時間にうれしいお店です。

碁盤の目のような町には何本もの坂道があり、この坂はかつてイワシを砂浜に運ぶために使われていたそう。漁船の出入り口を確認できるよう、すべての坂道から漁港が見下ろせるようになっています。
建物の老朽化や整備により新築の家も建てられていますが、町並みが大きく変わることはなく今もなお漁師町の風情を感じさせます。

外川駅前には5台停められる駐車場がありますが駐車料金は無料なのがうれしいポイント。
銚子電鉄の運行本数は、1時間に1本のペースであるため、効率よく銚子観光する場合はこちらを利用するのも一つの手です。
昔懐かしいローカル線の旅へ

銚子観光では、犬吠崎灯台、地球の丸く見える丘公園、銚子漁港などが人気の観光スポット。
この銚子電鉄も、地元の方々はもちろん観光にも欠かせない存在になっています。
銚子には、まだまだ奥深い観光スポットがありローカル線の駅を巡りながら、忙しない時間とは無縁ののんびりとした時間が過ごせます。
都会の喧騒から離れ、ちょっとした日帰り旅行などにもおすすめなので、ぜひ足を運んでみてくださいね。