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のんびりローカル線 流鉄で行く新選組ゆかりの地

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東京近郊でありながら、まるで小江戸のような雰囲気がただよう千葉県流山市。そこを走るローカル鉄道「流鉄流山線」は、レトロな車両が住宅街をコトコトと走り抜ける全長5.7kmの短い路線です。その終点「流山駅」の周辺には、幕末の英雄・新選組局長 近藤勇が最後に本陣を置いたとされる陣屋跡をはじめ、俳人・小林一茶ゆかりの記念館、国登録有形文化財の見世蔵など、歴史的なスポットが点在しています。

この記事では、流鉄流山線に揺られながら、新選組や江戸・明治期の文化を感じられる流山本町エリアをじっくりと巡る歴史散策の旅をご紹介します。半日あれば気軽に巡れる小さな旅、あなたも体験してみませんか?

◆ 流鉄流山線とは?

流鉄株式会社が運営する流山線は、千葉県松戸市の馬橋駅と流山市の流山駅を結ぶ、全6駅・5.7kmの単線の鉄道です。開業は1916年(大正5年)と歴史も古く、現在では車両に「なの花」「さくら」「若葉」など季節にちなんだ名前が付けられ、地域住民から親しまれています。

流山駅は「関東の駅百選」にも選ばれたレトロな木造駅舎で、改札は今では珍しい有人窓口方式。SuicaなどICカードは使えませんが、それもまた旅情をかき立てるポイントのひとつです。

▶流鉄公式サイト:https://ryutetsu.jp/

◆ 新選組・近藤勇陣屋跡

流山駅から徒歩約3分の場所にある「近藤勇陣屋跡」は、新選組局長・近藤勇が幕末の動乱期に最後の本陣を構えた地です。1868年、甲府城攻略に失敗した近藤は土方歳三らとともに流山へ移動し、偽名を使って滞在していましたが、新政府軍に包囲され自ら出頭。最終的には板橋に護送され、処刑されてしまいます。

今では路地裏に小さな石碑が静かに佇むのみですが、そこに立てば歴史の重みを感じずにはいられません。静けさとともに幕末の空気が感じられるスポットです。

▶流山市観光協会 江戸回廊:https://nagareyamakankou.com/edo/

◆ 一茶双樹記念館

流山は白みりん発祥の地としても知られています。その開発者・秋元三左衛門(俳号:双樹)は俳人・小林一茶と親交があり、一茶はたびたび流山を訪れ句を詠みました。

一茶双樹記念館は、秋元本家の商家を再現した建物と、句会などが行われた双樹亭からなり、静かな枯山水の庭が心を癒してくれます。長野県黒姫山の石を用いた句碑もあり、一茶の俳句とともに自然を感じられる名所です。

▶施設詳細:https://nagareyamakankou.com/spot/ichisouju/

◆ 流山本町通りと切り絵行灯

江戸時代から続く町並みが残る流山本町通りには、古民家を活用したカフェやギャラリー、工房などが点在しています。その街並みを彩るのが、約100基以上にもなる「切り絵行灯」。

店舗や神社、個人宅の前などに設置された行灯は、すべて異なるデザインで、地域の歴史や自然、人物などをモチーフにした切り絵がはめ込まれています。日中に細やかな職人技を堪能し、夕暮れには優しい灯りに癒される——そんな楽しみ方ができる散策スポットです。

◆ 万華鏡ギャラリー「見世蔵」

明治22年築の蔵を活用した「見世蔵」は、国登録有形文化財に指定されている建物。もとは茶舗だったこの場所は、現在「流山万華鏡ギャラリー」として、ユニークな万華鏡の展示・販売を行っています。

筒型を回すものだけでなく、自分自身が万華鏡の中に入ったような不思議な映像体験ができる作品もあり、子どもから大人まで楽しめます。2階のギャラリー見学は無料。1階では厳選された日本茶も味わえ、旅の小休憩にもおすすめです。

▶公式サイト:https://nagareyama-td.com/misegura/

◆ 散策のポイント

・歩きやすい靴でのんびりペースで ・午前は歴史散策、午後はカフェやギャラリーでひと息 ・お子さま連れやシニアにもやさしい平坦な道 ・天候により足元が滑りやすい箇所もあるため雨天時は注意

◆ おわりに

新選組と俳句、みりん、切り絵と万華鏡—。こんなにも多彩な文化が交差する流山。短い距離の中に、これほどまでに濃密な歴史と魅力が詰まった場所はなかなかありません。

ローカル線の穏やかなリズムに揺られながら、日常の喧騒から少し離れて、じっくりと“千葉の奥座敷”を歩いてみてください。

次の週末は、流鉄に乗って、あなたも流山本町の小さな旅人になってみませんか?

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