小網寺
小網寺
千葉県館山市出野尾に鎮座する 小網寺(金剛山小網寺) は、710年(和銅3年)に行基が創建したと伝わる真言宗智山派の古刹で、本尊は不動明王、観音堂には聖観世音菩薩が祀られています。かつて「安房の高野山」と称された密教道場で、1286年鋳造の梵鐘は国の重要文化財に指定され、また金銅密教法具20点が近年、文化財に認定されるなど、歴史的価値が高い寺院です。本堂の向拝には、彫刻家・後藤義光による見事な龍や獅子の彫刻があり、目を引く造形です。 観音堂へ続く石段の先には、平安期の木造聖観音立像が安置されており、参拝者は巡礼路「安房国札観音霊場」第32番札所としても訪れます。館山駅から車で10分ほどの丘陵地に位置し、境内は自然に囲まれた静寂な雰囲気で、歴史と信仰、美術が調和した取材にふさわしいスポットです。
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住所
概要
安房の高野山と称された古刹で、鎌倉名鐘と緻密な彫刻が息づく歴史の息吹
館山市出野尾の山里にひっそりと佇む小網寺は、和銅3年(710年)行基菩薩の開基と伝わる、千年以上の長い歴史を誇る真言宗智山派の古刹です。安房国札三十四観音の第32番札所としても信仰され、荘厳な山の空気に包まれた雰囲気は、まるで「安房の高野山」と呼ばれるにふさわしい凛とした佇まいです。

鎌倉名鐘「梵鐘」──時を超えて響く音色
本堂前に吊るされる梵鐘は弘安9年(1286年)、鋳物師・物部国光による名鐘で、国指定の重要文化財です。その澄んだ響きは「鐘の音が小網寺へ」と称され、人々の心に深く残ります。

彫刻美が眼前に──後藤義光の名作群
本堂向拝部には、安房の名工・後藤義光による精緻な龍や獅子の彫刻が施され、圧倒されるほどの迫力と繊細さを併せ持っています。享保期のご詠歌額など、歴史を感じる数々の寺宝も見どころです。

観音堂と豊かな仏像/密教法具
明治初期に建てられた観音堂には、館山市指定の木造聖観世音立像(平安後期の作)が安置されています。また、21点の金銅密教法具は近年重要文化財に指定され、安房地域の仏教文化を支える貴重な資料として館山市立博物館で企画展示も行われています。

森に響く静謐と歴史の道しるべ
仁王門をくぐると、杉やヒノキに囲まれた石段と境内が静けさを増し、谷あいの風景と相まって荘厳な空気へと誘われます。歴代住職の墓所や宝篋印塔、手水石など、小径を歩くたびに歴史が肌で感じられる場所です。
基本情報・アクセス
項目 | 内容 |
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所在地 | 館山市出野尾859 |
拝観 | 無料/自由(境内散策可) |
アクセス | JR館山駅→バス約15分「岡田口」下車→徒歩約20分/車は富浦ICから約25分 |
文化財 | 梵鐘(国重要文化財)、金銅密教法具(市博で展示)、木造観音像(市指定文化財) |
こんな人におすすめ
- 仏教美術や彫刻に魅せられる歴史愛好者
- 戦国期以前から続く寺院の「時の重み」を感じたい人
- 石段と森の中で、静かに心を鎮めたい日常の旅人
小網寺は、4000年超の歴史と地層のような人々の営みが、美術と音色を通して今も息づく場所。
深緑に包まれた石段を登り、ひととき梵鐘の響きを胸に刻んでみませんか。
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住所
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